ERP導入プロジェクトの進め方
ERPシステムの導入は、企業の基幹業務を一新する大規模なプロジェクトです。フリーランスエンジニアとしてこの分野で活躍するには、開発スキルだけでなく、プロジェクト全体の流れと各フェーズで求められる専門的な役割を深く理解しておくことが大切です。導入プロセスは大きく分けて、「計画と定義」「設計と構築」「テストと移行」の三段階で進行します。
計画と定義
ERP導入プロジェクトは、まず「計画」からスタートします。経営層が目指すビジョンと導入目的を明確化し、プロジェクトの範囲、予算、スケジュール、実行体制を固めるのがこの段階です。フリーランスエンジニアが本格的に関わり始めるのは、計画が固まったあとの「要件定義」からになることがほとんどでしょう。このフェーズでは、現行の業務プロセスを詳細に分析し、現状のシステムが抱える課題やボトルネックを洗い出す、現状分析から着手します。そのうえで、導入目的を達成するための新業務フローを定義します。この要件定義こそが、プロジェクトの成否を分ける重要フェーズです。この際、ユーザー部門の要求とERPパッケージの標準機能との間に生じる乖離を埋める「Fit & Gap分析」を実行します。この分析結果に基づき、標準機能の活用を最大限に促すのか、あるいはどうしても必要な機能に限定してカスタマイズを行うのかを決定することになるでしょう。業務要件の調整力や高度な業務知識が求められるため、要件定義は高単価な案件が集まる領域となります。
設計と構築
要件定義が完了し、何をすべきかが明確になると、システムを具体的に作り上げていく「設計」と「構築」のフェーズに移行します。設計では、定義された要件に基づきシステム全体の機能設計、技術アーキテクチャ、外部システムとの連携方法、データ移行に関する詳細な計画を立てます。設計が固まると、いよいよシステムを実際に作り上げる構築です。この作業には、ERPパッケージが持つ設定機能を用いて、定義された業務要件に合致するようにシステム内の各種パラメータを設定する作業が含まれます。さらに、パッケージの標準機能では対応できない部分については、外部連携機能や特殊なレポート機能などを個別で開発するアドオン開発やカスタマイズ作業が行われます。この構築フェーズは、フリーランスの開発エンジニアが最も活躍しやすい場であり、SAPならABAP、Oracle NetSuiteならSuiteScriptといった、特定のERPに特化した開発言語やフレームワークの習熟度がそのままスキルと報酬に直結するでしょう。
テストと移行
システム構築が完了したあとは、さまざまな角度からのテストを実施し、本番環境への移行に向けた準備を進めます。テストフェーズは、開発したプログラムや設定が設計通りに動作するかを確認します。フリーランスのテストエンジニアは、テスト計画の策定、テストケースの作成、実行、不具合の管理を担当し、リリース前のシステム品質を担保する役割を担うことになるでしょう。システムの本番稼働の準備が整ったら、データ移行に移ります。これまでのレガシーシステムからERPへのデータ移行は、プロジェクトの中でも慎重さが求められる作業の一つであり、細心の注意と高いスキルが求められます。システムの本番稼働直後は、予期せぬ不具合や操作ミスが発生しやすいです。稼働直後はしっかりとサポートを行い、導入の成功と安定稼働に繋げましょう。






