ERPの導入形態について
ここでは、ERPの基礎知識の一つとして、導入形態について解説します。ERPには大きく分けて3つの形態があり、それぞれに特徴やメリットがあります。また、利用形態としてクラウド型とオンプレミス型があることも押さえておきましょう。
統合型ERP
統合型ERPは、企業の全業務領域をカバーする包括的なシステムです。財務会計や人事管理、生産管理、販売管理などあらゆる業務機能が一つのパッケージに統合されています。この形態のERPは、大規模企業や複雑な業務プロセスを持つ組織に適しています。統合型ERPの最大のメリットは、データの一元管理と業務プロセスの標準化。各部門間でのデータ共有がスムーズになり、経営判断に必要な情報をリアルタイムで把握できます。また、業界のベストプラクティスに基づいた標準的なプロセスが組み込まれているため、業務の効率化や品質向上にもつながります。
コンポーネント型ERP
コンポーネント型ERPは、必要な機能モジュールを選択して組み合わせるタイプのシステムです。企業は自社の要件に合わせて、財務会計や人事管理、在庫管理などの機能を柔軟に選択し、導入することができます。この形態のERPの最大のメリットは、カスタマイズ性の高さです。必要な機能のみを導入できるため、初期投資を抑えることができます。また、段階的な導入が可能なため、企業の成長に合わせてシステムを拡張していくことが可能。中小企業や特定の業務領域に特化したい企業にとって、コスト効率の高い選択肢となります。
業務ソフトERP
業務ソフトERPは、特定の業種や業務に特化したERPシステムです。たとえば、製造業向けや小売業向け、サービス業向けといった業界ごとの特性を考慮して開発されています。このタイプのERPの最大のメリットは、業界特有の要件や規制に対応した機能が最初から組み込まれていることです。そのため、カスタマイズの必要性が低く、導入期間の短縮やコスト削減につながります。また、業界のベストプラクティスが反映されているため、業務プロセスの改善にも効果的です。
利用形態は2つに分類
ERPの利用形態としては、クラウド型とオンプレミス型の2つに大別されます。クラウド型ERPは、インターネットを通じてサービスを利用する形態です。初期投資が少なく、迅速な導入が可能なことが最大のメリットでしょう。また、サーバーの管理や保守、アップデートなどをベンダーが行うため、IT部門の負担が軽減されます。一方で、カスタマイズの自由度が比較的低く、データのセキュリティに不安を感じる企業もあるようです。
オンプレミス型ERPは、自社内にサーバーを設置して運用する従来型の形態。初期投資は大きくなりますが、高度なカスタマイズが可能で、データの管理を自社で完全にコントロールできます。しかし、サーバーの管理や保守、アップグレードなどの負担が大きいというデメリットがあることも認識しておいた方が良いでしょう。
現在は、クラウド型ERPが主流となっています。特に、中小企業や新興企業にとっては、コスト面や導入の容易さからクラウド型ERPが選ばれる傾向にあるようです。ただし、業種や企業規模、セキュリティ要件などによっては、オンプレミス型ERPが選択されることもあります。