総合データベースで一元管理ができる
ERPでは、業務ごとに独立したシステムで管理されていたデータを統合データベースで一元管理します。従来の業務システムとの違いや、業務フローの変化について理解すると、ERPのメリットをより明確に理解できます。
統合データベースでデータを一元管理する
製品や取引に関するデータがERPで処理されると、関連するデータが同時に更新されます。結果として、人の手でデータ入力を行うことによるミスもなく情報は正確に処理されます。ERPによる管理下でひとつの商品を出荷する際には、その商品に紐づいている在庫や販売、会計などのデータが同時に更新されます。ERPではない業務システムで部署ごとに切り分けて業務を管理する場合、会計や人事、生産、物流、販売などの基幹業務を、担当する各部署から1カ所にデータを集めるための手間がかかります。この場合システムが連携していないため、修正の必要が生じるとシステムごとに入力し直さなければならず、多大な労力がかかってしまいます。ERPを使ってデータを一元管理すれば、従来の業務システムを使用する際にかかっていた手間を大幅に省くことが可能になるのです。
従来の業務システムの違い
ERPと従来の業務システムの違いは、データ管理の方法で見極めることができます。ERPの場合はデータがひとつのデータベースで一元管理されていますが、従来の業務システムはシステムごとにデータベースがあります。データベースがシステムごとに分けられていると、販売管理システムに受注データを入力して請求書を発行したら、会計システムに売上げを入力するなど、ひとつの要件に対していくつもの部署をまたがなければならず、二重三重の手間が発生してしまいます。ERPなら一度の入力で済むデータを、従来の業務システムでは何度も入力しなければならないので、業務量はERPを使った業務の何倍にもなってしまいます。ERPでデータを一元管理していれば、データの転記で発生しがちな人為的ミスを完全になくすことができます。仮に最初に入力したデータに誤りがあったとしても、ERPなら1カ所だけを修正すればすべての部署のデータが修正されます。
業務フローも一元管理できる
ERPを使用するメリットは、データを一元管理することによって業務フローの一元管理も可能にすることです。ERPで一元管理されている生産や販売、物流などの基幹業務に関連するデータの整合性を保つためには、ひとつの要件に対して複数の人が同時にデータを更新できないよう「データロック」をしなければなりません。ERPはデータの一元管理を目的としたシステムなので、データロックもデータの一元管理に適した構造になっています。入力データが重複しないようシステムでブロックすることで業務全体がスリムになり、効率的な業務フローが構築されます。