導入のデメリット
ERPを導入することにさまざまなメリットがある一方、導入前に理解しておくべきデメリットもいくつかあります。
種類が多すぎて迷ってしまう
ERP製品は、国内製と海外製のものを合わせるとかなりの種類があります。特徴も製品ごとに異なっていることから、自社の業務に最適なERPを選ぶまでに多くの時間を要する場合があります。説明書や公式サイトが外国語だと、製品の特徴を理解するだけでも時間がかかります。できるだけ時間をかけずに製品を選ぶためには、自社がERPに求めていることを明確にしておく必要があります。パッケージ化されているERPだと、自社では必要としない機能が含まれていたり、機能を追加しなければならないこともあります。追加開発を希望する場合には、追加のコストがかかります。
システムの導入までにコストがかかる
ERPを導入するためには、企業内で多角的な調査を行わなければなりません。製品を選択し、追加機能が必要であれば発注し、社内で調整を行いながら導入準備を進めます。導入の段階になって、ERPに不適合と判断されてしまう場合もあります。コストをできるだけかけない方法を選択したい場合には、オンプレミス型よりもクラウド型のサービスを利用した方がいいでしょう。
セキュリティ対策に対応しなければならない
クラウド型のERPは低コストで使いやすい反面、セキュリティ面の不安があります。重要なデータもすべて自社外で保管することになるため、情報漏洩を完全に防げるかどうかはほとんどベンダー任せです。セキュリティ対策でこまめなアップデートがある場合には対応しなければならないなど、クラウド型ERPは自社のペースでセキュリティ対策ができません。なお、オンプレミス型ERPでも自社におけるセキュリティ対策は必要です。
社内への周知徹底に手間がかかる
ERPを導入することで業務効率化が可能となりますが、使い慣れないうちは効率が落ちてしまう可能性があります。各部署で最適化してきた業務をリセットしなければならない場合、ERPの導入を反対する意見が出る可能性もあります。ERPのメリットを最大限に活かすためには、現場の人々が新しいシステムに適応していく必要があります。データの扱い方などに関する新たなルールを設け、全社員に周知させなければならないかもしれません。ERPは単なる業務効率化だけでなく、経営判断のための重要なデータをまとめる手段でもあります。経営陣は、ERPの重要性に対する認識を深め、説明や指示のために率先して動く必要があります。この点が不十分だと、せっかくERPを導入しても効果を実感できないままになってしまうでしょう。